第三回



アールティの開発は、「現場を知る」ことを徹底して、課題解決に取り組みます。人型協働ロボットFoodlyも、もちろんこの開発ポリシーを踏襲して、現場での利用シーンを徹底的に追及したロボットです。食品工場のお弁当の盛り付けラインは、人間による作業に最適化された環境です。これがいかにロボットにとって難しい状況か、ということと、全く新しいコンセプトや製品がどうやって世の中に受け入れられていくかというお話しをしたいと思います。

コンパクトでキュートなボディになった訳

お弁当の盛り付け作業を行う食品工場でロボットが働く場合、意外と狭いスペースで作業を行う必要があります。食品工場は、人間が働くことに特化された空間設計(照明、床面、空調、広さ、障害物等々)になっているからです。作業をするにあたって、そばにある障害物を器用によけたり、少しくらい影になっていてもモノを見分けたりするのは、人間にとってはそれほど負担ではありませんね。そして、1時間に2-3回変更になるメニューに対応してロボットのオペレーションを切り替えることは、プログラムの変更になります。これらの条件をクリアして、人間と同じ環境で、人間が隣にいる状態で作業をするということは、ロボットには実はものすごく厳しいのです。

最初の1本のロボットアームと天井カメラで作っていたシステムで実験しながら、いろいろな課題を見聞きするにつれ、システムと一緒に動き回れるカメラ、食材の認識時にロボットアームが死角にならない…上げたらきりがないくらい条件がたくさん出てきました。これはバラバラに技術開発をやっていてはダメだ、課題をいっぺんに解決する技術を目指さないとこの問題はクリアできないということに気づきました。それからは試行錯誤の連続です。何台ロボットを試作したのか、細かい変更を入れたら正確には数えてられないくらいです。

威圧感を与えない小柄な成人女性のサイズ、移動するならキャスターで、そしてベルトコンベヤーの高さに合うようにと様々な経験とノウハウが生かされてFoodlyの設計は進みました。その結果、Foodlyは、写真のようにコンパクトでキュートな人型上半身ボディに仕上がりました。

FOOMA2019でのデモでは実際にロボットの移動も行う予定です。ぜひ会場でご覧になってください。

 

Foodly 2018年10月のプロトタイプ形態
最新版は工場向けのさらに使いやすい形になっています。
FOOMA2019でぜひご覧ください。

ロボットと人間が一緒に働くということ

実際に、食品工場でロボットが一緒に人と並んで働くということは、世界でもまだまだそう多くはない事例です。そもそもロボットと並んで働くということ自体がほとんどないので、食品工場もロボットメーカーもチャレンジすることが多くあります。そこで、他のサービスロボットの事例を少し調べてみました。

たとえば、日本科学未来館にホンダのASIMOが入ったのは2002年のことでした。今では、ロボットと会話するとか普通に思えるでしょうが、当時はロボットと会話すること自体が珍しい時代。そんな中で、人間と一緒に働くスタッフとして「ロボットが展示の解説員になる」扱いをするには受け入れ側のスタッフの人たちもかなり心理的に大変だったそうです。ロボットであってもスタッフと思ってもらう文化を人間の側に作ることが大事だったそう。日本科学未来館はそれを見事にやり遂げて2019年現在でもASIMOが展示解説として活躍しています。

他にも最近だと、はま寿司の受付をするPepperの記事があり、現場のスタッフの運用を分析してロボットによる受付サービスを作りこんでいったという事例として紹介されていました。これは想像ですが、使い始めた当初は、店舗のスタッフの方も運用が大変だったのではないかと思います。それでも使い続けて改良を重ねられてこられて、今では普通に店舗の受付をPepperがしているのを見かけます。

これらをまとめると、「ロボットと一緒に働く」ということを成功させるには、受け入れる人間側が「ロボットとの付き合い方」を編み出す「企業文化」を作ることが大事なのだなということがわかります。同じように、食品工場でも、ロボット危なくないのか?とか、操作が難しいんじゃない?という先入観が現場のスタッフにもあるかもしれません。そこは上記の事例と同じように「ロボットと一緒に働く」という風土を工場で作っていき、ノウハウとしていくことが必要なのだとアールティは考えています。

2018年10月頃のFoodlyプロトタイプ。最新版はどうぞFOOMA2019で御覧ください!

 

ロボットにはできないこともたくさん

これまでお話ししてきたように人間の作業と言うのは本当に複雑で、ロボットでとってかわって、全部の工程をロボットだけでやる、ということを現実にすることは非常に難しいです。AIやロボットがほとんど人間と同じように働いている世界が実現するのはもっと先の未来の話です。

Foodlyは、いまだ、開発途上のロボットです。私たちも、今の段階では、これはできません、これもできません。できませんけど、これはできるので、こういうふうに使ったら、お役に立てます。というお話をさせていただきます。

多くの人は、優れた製品やサービス、すごい技術があったら、みんなが喜んで受け入れると思うでしょう。しかし、上記で紹介したように、最初から優れていてみんなに受け入れられていたわけではありません。ユーザーと共に成長していったサービスも多いのです。

これまで何度も食品工場でロボットを導入してきてうまくいかなかった担当の方も多くいらっしゃると思います。食品工場だからこそ、「仮にうちに納品するなら完璧なものにしてくれ」と、間違いなく言われることも承知しています。それでもあえて、食品工場でロボットが働ける未来を作るために、製品としては完成度は低いけど今からノウハウをためていきたいからFoodlyを一緒に開発してみたいというユーザーさんとロボットを作っていきたいと考えています。

アールティのFoodlyと一緒に未来を作っていきたいと思っていただけるよう、私たちは開発を続けていますので、現状での開発の成果をぜひFOOMA2019に見に来て下さい。

FOOMA JAPAN 2019は終了致しました。
弊社ブースへの数多くのご来場、誠にありがとうございました。
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連載の購読だけでなく、ぜひFOOMA2019にご来場いただき、Foodlyのデモをぜひご覧ください。
アールティでは食品工場のベルトコンベアライン向けの食材ピッキングの技術開発の相談も承っております。お気軽にお問い合わせください。

ブースはせまいため、ゆっくり見ていただくスペースがあまりありません。じっくり見たい、説明を聞きたいという方は、上記のフォームから日時指定でご予約いただけると確実です。

ご来場について

アールティのブースはFOOMA2019 南3C-22ブース

クイックパス登録が入場手続き不要で便利です。
http://www.foomajapan.jp/contact/registration/qp.html

FOOMA2019
会期:2019年7月9~12日
会場:東京ビッグサイト(東京都・江東区)
http://www.foomajapan.jp/

第四回公開済み