第二回

ロボットで食材を扱うということ

お弁当の盛り付け作業をロボットで実現する場合、食材を直接取り扱うときに3つの技術的な課題があります。

それは自然由来のため2つと同じ形状のない不定形な食材の「位置や向き、大きさの認識」という画像認識に由来する課題、「ピッキング」と呼ばれる食材を取り出すときのつかみ方、そしてベルトコンベア等で流れてくるお弁当箱に丁寧に詰めるためのロボットアームの制御技術です。今回はこの3つについて説明していきます。

優れた画像認識技術

今回の食品工場向け人型協働ロボットFoodlyの目玉の技術はなんと言っても、アールティが開発した山積みになった食材の山から、2つと同じ形のない食材を見分けて、リアルタイムに位置や大きさを識別する「ばら積み取り出し」という技術。

専門的な話なので、ピンと来ないかもしれませんが、山積みになった食材の形を見分けて、一個一個このくらいの大きさと言うのを教えてくれるAIソフトウェアの技術です。

人間と違ってコンピュータは全く同じ形でない食材を見分けるのは実はとても苦手。例えば唐揚げのような2つとして同じ形のない食材を山積みにされるとどこからが境目かがわからなくて、今まで誰もが成功してなかったのです。アールティでは2016年頃からこの技術を開発し、実用化し始めました。

これらの技術はgoogleにも評価され、2017年ドイツで開催されたCeBIT2017の展示品として紹介もされています。人間と一緒に働く、ということはロボットのために特別な照明環境等を作ってもらえるとは限りません。Foodlyは、人間と同じ環境で上記の識別ができるように開発されています。今は認識できるのが塊状の丸い食材に限られるものの、将来の技術進歩が楽しみな分野です。

上記の図は説明のための概念図です

適度な強さでつかむピッキング技術

食品工場向け人型協働ロボットFoodlyの2つ目の特徴は優れたピッキング技術です。食品工場のオペレーションを考えてラインの食材変更に素早く対応するためのワンタッチ着脱式のトング機構や、食材を適切な力加減で掴むためのセンシング、無駄のない動きをさせるための動作設計、安全に動かすための力制御…上げていくときりがないくらいです。

一般的にロボットのピッキングシステムは、腕の部分となるロボットアーム部と、エンドエフェクタ、あるいはハンドと呼ばれる手にあたる部分で構成します。

人間で言えば手に相当する部分は専門的には「エンドエフェクタ」と呼びますが、ここではわかりやすく「ハンド」と呼ぶことにします。ハンドはものをつかむ部分なので、モノをつかむ、という専門分野ができてるくらい複雑な操作になります。このハンドのつかみ方や強さなどを示す性能を「把持(はじ)性能」といいます。

Foodlyは、手先のトングが食材をつかんだかどうかをセンサー情報から推定した力加減で見ています。そのため、ロボットは食材をつかみそこねて取り落としたかどうかがわかります。Foodlyが食材を取りそこねて再度取りに行くかどうかは手先の感覚でロボットが判断できるようにしています。

実際に、FOOMA2019のデモンストレーションでFoodlyの把持性能を御覧ください。

 

Foodlyのハンドとトング部分

 

次世代型のロボットアームの制御技術

上記のハンドで食材をつかんだ後に、お弁当箱まで「運ぶ」のはロボットアームの役割です。

ロボットアームは決められた経路計画に従って、所定の位置まで各関節を動かすことになります。その各関節をどんな制御で動かすのかで動きが変わってきます。このように制御や経路が適切なら、効率もよく、安全にモノが運べますね。

こういうロボットアームの動きの性能については、専門家からは大雑把すぎると怒られそうですが、「運動性能」といいます。
アールティのFoodlyは力制御という人間と同じような力加減の司令で動いています(下欄の豆知識参照)。作業をするのに必要な力だけを出していますので、作業中に触っても意外とソフトタッチ。(もちろん、作業しているときは作業に必要な力を出しているので、それなりの力は感じます。)

ここにもアールティが独自開発してきた重力補償、力・位置ハイブリッド制御が惜しみなく投入されています。つまり、外部からかかる力を電流センサーによって検出してロボットアームやハンドの動きや接触状況を把握。食材だけでなくフードコンテナとの接触や、隣のスタッフとの衝突も識別することができます。いわば、メカとソフトのコンボ技で、食材を掴んで取り出し、お弁当箱に盛り付けます。このように、コンピュータとセンサの進歩により、安全にロボットと一緒に働ける技術を実現しました。

 


マメ知識

従来の産業用ロボットは「位置制御」と言われる制御方法で、フルパワーで所定の位置に行こうとします。そうなるとぶつかったときの衝撃はフルパワーになるので、衝突時は人間が怪我するかロボットが壊れるかです。危険防止のために柵が必要になってきます。サービスロボットでは、1関節80W以下の出力であれば、柵なしの協働型にしてよいという規定が新しくできました。

アールティの総合技術

これまで、画像認識やロボットのアームの技術について説明してきました。一般的に、画像認識、ハンド、ロボットアームの制御、それぞれに難しい技術で専門分野が違うので、作ってるメーカーも別々です。

アールティは、ワンストップですべてのロボットシステムを開発できる総合技術を持つからこそ、画像認識、優れた把持、運動性能を持つロボットハンド&ロボットアームを持つ人型協働ロボットFoodlyとしてコンパクトに実現できました。これらはもちろん、ロボットのハードウェアもソフトウェア、画像認識等のAIまですべてアールティが独自開発してきたオリジナル技術になります。

2010年以降はコンピュータにできることが大きく進化を遂げた時代と言えます。今は、パソコンはもちろんスマホなど身近な電子機器のあちこちで当然のようにディーブラーニング等のAIを駆使した画像認識技術を使っています。また、スマートフォンなどに使うためにセンサーも高性能化、超小型化されました。これらがロボットに革新的な技術進歩をもたらしました。アールティは創業以来、大学や企業の先端技術の試作を数多く手がけてきて、つぶさに動向を追っています。開発してきた先端技術をベースにして食品工場向け人型協働ロボットFoodlyは生まれました。

2020年代を迎えようとする今、いよいよロボットと一緒に働く時代がやってきました。
ぜひFOOMA2019にご来場いただき、食品工場向けのソリューションについてご覧ください。
アールティでは食品工場のベルトコンベアライン向けの食材ピッキングの技術開発も承っております。お気軽にお問い合わせください。

FOOMA JAPAN 2019は終了致しました。
弊社ブースへの数多くのご来場、誠にありがとうございました。
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ご来場について

アールティのブースはFOOMA2019 南3C-22ブース

クイックパス登録が入場手続き不要で便利です。
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FOOMA2019
会期:2019年7月9~12日
会場:東京ビッグサイト(東京都・江東区)
http://www.foomajapan.jp/

第三回公開済み